魯縞如玉霜 魯縞は玉霜の如し
筆題月氏書 筆題す月氏の書
寄書白鸚鵡 書を寄す 白鸚鵡
西海慰離居 西海 離居を慰めん
行數雖不多 行数 多からずと雖も
字字有委曲 字字 委曲有り
天末如見之 天末 如し之を見らば
開緘淚相續 緘を開いて涙相続かん
淚盡恨轉深 涙尽きて恨み転(うた)た深く
千里同此心 千里 此の心と同じからん
相思千萬里 相思ふこと千萬里
一書值千金 一書 千金に値す
【私訳】
魯のなめらかな白絹に
文をしたためて月氏の地へ
白い鸚鵡に託して
はるか西の海に御座すあなたを慰めて差し上げたい
短いものに感じられるかもしれませんが
その一文字ごとに わたしの気持ちをはっきりとお伝えできますでしょう
この天の向こう側のあなたがこれを見て下さったなら
封を開いたまま きっと泣いてくださるでしょう
そうして涙がつきて それが深い無念となり
千里の果てであなたをお慕いし続けるわたしと同じお気持ちになられるでしょう
どんなに果てしなくはなれていても そのとき心がつながります
この手紙は そのような宝物なのです
・魯縞=魯(現在の山東省)地方に産する白い絹。純白で良質の絹だそうです。
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