寂寞河中府 寂寞たり河中府
臨流結草廬 流れに臨みて草廬を結ぶ
開尊傾美酒 尊を開きて美酒を傾け
擲網得新魚 網を擲ちて新魚を得る
有客同聯句 客有らば連句を同じくし
無人獨看書 人無くば独り書を看る
天涯獲此樂 天涯 此の楽を獲て
終老又何如 老いて終へるも又何如(いかん)
【私訳】
往時の繁栄の陰もなく サマルカンドは静まり返っている
川に臨んだ場所に質素な家をこしらえた
祭壇に捧げられた美酒を下げて開け
獲ってきたばかりの魚で一杯やろう
お客人が来たなら連句をして楽しみ
一人の時は読書をして過ごす
故郷から遥か遠く この地でこんな風に楽しみながら
そのまま年老いて骨を埋めるというのはどうだい?
・尊=中国古代の盛酒器。口部が喇叭状のすらりとしたもの。
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