寂寞河中府 寂漠たり河中府
連甍及萬家 甍を連ねて萬家に及ぶ
蒲萄親釀酒 葡萄もて親(みず)から酒を醸し
杷欖看開花 杷欖看るみる花ひらく
飽噉雞舌肉 飽くまで啖う鶏舌の肉
分餐馬首瓜 分かちて餐う馬首の瓜
人生唯口腹 人生唯だ口腹のみ
何礙過流沙 何ぞ礙(さまた)げん流砂を過ぐるを
【私訳】
往時の繁栄の陰もなく サマルカンドは静まり返っている
軒を連ねた家々が何万戸にも及んでいることだろうか
彼らは葡萄を醸して独自の酒を造る
杷欖の花は見るみるうちに咲き乱れ
それらの芳香が ぷん と街に漂い始める
香辛料を効かせた肉を飽きるほど頬張り
大きな瓜を割ってかぶりつく
人生とはつまるところ美味いものを食らう為にあるのだ
この為になら大砂漠を越える苦労など何の障害にもならないね
・杷欖=アーモンド。鶏舌=香辛料。
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