気ままに書いていきたいと思います。
寂寞河中府 寂寞たり河中府
西來亦偶然 西に来たるも亦た偶然
每春忘舊閏 每春 旧閏を忘れ
隨月出新年 月の隨(まにま)に新年に出づ
強策渾心竹 渾心竹を強かに策(つえつ)きても
難穿無眼錢 無眼錢は穿ち難し
異同何定據 異同に何ぞ據を定めん
俯仰且隨緣 俯仰 且(まさ)に隨緣
【私訳】
往時の繁栄の陰もなく サマルカンドは静まり返っている
中原を離れてこの西方の地に来たのも また偶然だ
春を迎えるたびに 前の年のことを忘れてゆき
日々を暮らしていくうちに いつの間にかまた新年を迎える
躍起になってあちらこちらと歩き回ったところで
銭がいつまでも身に留まってくれるわけじゃなし
前と違う生活か同じか どうしたって安定なんて望めはしない
わるいときもいい時も まさにご縁あるがままなのさ
・渾心竹=泥だらけの竹の杖、か。若しくは渾心、竹を強かに、かも。
・牙行の仲介手数料である牙錢は縁取りや孔が無い(当時銅が不足し、その流通を禁止された為交鈔という紙幣が発行された)ので紐などに絡げて身に下げ持つことができない(元代は紙幣の大量発行がインフレーションが招き貨幣価値が不安定であった)=生活が不安定、という意味に取れます。また眼銭は「眼前」と同音であり、富貴の意のみならず、それがもたらす幸福が「眼前」にあるという吉祥の意味も持つそうです。そのことからも平穏な人生を保ちがたい、と解釈することもできるかも知れません。
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