寂寞河中府 寂寞たり河中府
聲名昔日聞 声名 昔日に聞く
城隍連畎畝 城隍に畎畝連なり
市井半丘墳 市井 半ば丘墳たり
食飯秤斤賣 食飯を秤りて斤売し
金銀用麥分 金銀を用ひて麦を分く
生民怨來後 生民 怨み来たりて後
簞食謁吾君 簞食(たんし)して吾君に謁す
【私訳】
往時の繁栄の陰もなく サマルカンドは静まり返っている
その評判を聞いたのはむかしのこと
堀を備えた城には田園が連なっており
居住区はその半ばほどが丘の上に広がる
市では食料品を量り売りし
金銀などで麦を取引しているそうだ
その地に暮らす民が陳情に来たのを機に
勉学のため苦労を承知でわが主君に赴任を願い出たのだ
・城隍=城壁と隍(堀)のこと。
・怨み=ここでは不平・不満と解釈しています。
・簞食=竹の器に盛った飯のこと。簞食瓢飲(たんしひょういん)は清貧に甘んじて学問に励むことです。
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