気ままに書いていきたいと思います。
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八月陰山雪滿沙 八月の陰山 雪 沙に満つ
清光凝目眩生花 清光 目を凝らせば 眩みて花を生ず
插天絶壁噴晴月 天を挿す絶壁 晴月を噴き
擎海層巒吸翠霞 海を擎(ささ)ぐ層巒(そうらん) 翠霞を吸う
松檜叢中疏畎畝 松檜の叢中に畎畝(けんぽ)を疏す
藤蘿深處有人家 藤蘿(とうら)の深き処に人家有り
橫空千里雄西域 空に横たわること千里 西域に雄たり
江左名山不足誇 江左の名山も誇るに足りず
【私訳】
八月の陰山はすでに雪が降り 沙陀中に積っている
その清らかな光をじっと見ていると
くらんで目に花がちらついたようになってしまう
空を挿すような絶壁から 晴れ渡った月が噴きだしたかのように輝きながら現れ
滄海の波のように連なった山々は 美しい翠霞を吸いこんだかのようだ
松や檜の森の中に水路を通して田畝を開かれ
藤やかずらの深くしげっているところに人家が見える
この空の下に広々と横たわる陰山の姿は
西域の雄岳と呼ぶにふさわしい
揚子江の下流域にある名山もこれに比べれば物足りないほどだ
黄橙を蜜に漬けて調理し
白餅に粉砂糖を塗す
乾いたこの地で口を潤そうと思えば河の水を雨の代わりにし
衣類を作る羊毛をとるために丘で牧畜する
一度西方のこの地に来てしまってから
ことさらに故郷を思い出すことなんてないさ
・黃橙調蜜煎=橙を甘く煮たもの。ジャムのような感じでしょうか?美味しそうです。
・白餅糝糖霜=糖霜を糝す(粉砂糖をまぶす)。ザラメを振りかけたお餅、それとも寿甘のようなものでしょうか?こちらも食べてみたくなりますね。
寂寞河中府 寂寞たり河中府
西來亦偶然 西に来たるも亦た偶然
每春忘舊閏 每春 旧閏を忘れ
隨月出新年 月の隨(まにま)に新年に出づ
強策渾心竹 渾心竹を強かに策(つえつ)きても
難穿無眼錢 無眼錢は穿ち難し
異同何定據 異同に何ぞ據を定めん
俯仰且隨緣 俯仰 且(まさ)に隨緣
【私訳】
往時の繁栄の陰もなく サマルカンドは静まり返っている
中原を離れてこの西方の地に来たのも また偶然だ
春を迎えるたびに 前の年のことを忘れてゆき
日々を暮らしていくうちに いつの間にかまた新年を迎える
躍起になってあちらこちらと歩き回ったところで
銭がいつまでも身に留まってくれるわけじゃなし
前と違う生活か同じか どうしたって安定なんて望めはしない
わるいときもいい時も まさにご縁あるがままなのさ
・渾心竹=泥だらけの竹の杖、か。若しくは渾心、竹を強かに、かも。
・牙行の仲介手数料である牙錢は縁取りや孔が無い(当時銅が不足し、その流通を禁止された為交鈔という紙幣が発行された)ので紐などに絡げて身に下げ持つことができない(元代は紙幣の大量発行がインフレーションが招き貨幣価値が不安定であった)=生活が不安定、という意味に取れます。また眼銭は「眼前」と同音であり、富貴の意のみならず、それがもたらす幸福が「眼前」にあるという吉祥の意味も持つそうです。そのことからも平穏な人生を保ちがたい、と解釈することもできるかも知れません。
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