気ままに書いていきたいと思います。
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西京亂無象 西京 乱れて象(みち)無く
豺虎方遘患 豺虎(さいこ) 方(まさ)に患いを遘(かま)う
復棄中國去 復(ま)た中国を棄てて去り
遠身適荊蠻 身を遠ざけて荊蛮(けいばん)に適(ゆ)く
親戚對我悲 親戚 我に対して悲しみ
朋友相追攀 朋友 相追攀(あいついはん)す
出門無所見 門を出でて見る所無く
白骨蔽平原 白骨 平原を蔽(おお)う
路有飢婦人 路(みち)に飢えたる婦人有り
抱子棄草間 子を抱きて草間(そうかん)に棄つ
顧聞號泣聲 顧みて号泣の声を聞くも
揮涕獨不還 涕(なみだ)を揮(ふる)いて独り還らず
未知身死處 未だ身の死する処を知らず
何能兩相完 何ぞ能(よ)く両(ふた)つながら相完(あいまった)からん
驅馬棄之去 馬を駆りて之を棄てて去る
不忍聽此言 此の言を聴くに忍びず
南登霸陵岸 南のかた霸陵の岸に登り
回首望长安 首(かうべ)を迴(めぐら)して長安を望む
悟彼下泉人 彼の下泉の人を悟り
喟然伤心肝 喟然(きぜん)として心肝を傷ましむ
【私訳】
長安の都はめちゃくちゃに荒らされていて
碌でもない連中(董卓軍)が好き放題暴れまわっている
私はまたも都を捨てて去り
荊州なんてド田舎へ逃げ落ちていくのだ
親戚らは私のために悲しんでくれ
友人たちは別れを惜んでくれる
城門を出てみたら もうどこも見るに堪えられない
見渡す限り地を覆い尽くす 白い骨 骨 骨 だ
道端に飢えた女がいた
みれば赤子を野辺に棄てているところだ
女は振り返って赤子の泣き叫ぶ声を聞いていたが
涙を振り切るように去っていく
「私一人でもいつどこで野垂れ死ぬかわからないのよ?!
あなたと一緒にいたら、ただ共倒れになるだけじゃない!」
私は赤子たちから逃げるように馬に鞭打って駆け出した
堪らない
こんな言葉を聞いていたくない
長安の南にある覇陵の岸に立ち 都を振り返る
悪政を嘆く民衆の思いがつづられた『詩経』の
「下泉」篇を作ったやつの気持がよくわかったよ
胸をかきむしられるようだ
八月陰山雪滿沙 八月の陰山 雪 沙に満つ
清光凝目眩生花 清光 目を凝らせば 眩みて花を生ず
插天絶壁噴晴月 天を挿す絶壁 晴月を噴き
擎海層巒吸翠霞 海を擎(ささ)ぐ層巒(そうらん) 翠霞を吸う
松檜叢中疏畎畝 松檜の叢中に畎畝(けんぽ)を疏す
藤蘿深處有人家 藤蘿(とうら)の深き処に人家有り
橫空千里雄西域 空に横たわること千里 西域に雄たり
江左名山不足誇 江左の名山も誇るに足りず
【私訳】
八月の陰山はすでに雪が降り 沙陀中に積っている
その清らかな光をじっと見ていると
くらんで目に花がちらついたようになってしまう
空を挿すような絶壁から 晴れ渡った月が噴きだしたかのように輝きながら現れ
滄海の波のように連なった山々は 美しい翠霞を吸いこんだかのようだ
松や檜の森の中に水路を通して田畝を開かれ
藤やかずらの深くしげっているところに人家が見える
この空の下に広々と横たわる陰山の姿は
西域の雄岳と呼ぶにふさわしい
揚子江の下流域にある名山もこれに比べれば物足りないほどだ
采薇采薇 薇(び)を采(と)り 薇を采る
薇亦作止 薇も亦(ま)た作(は)ふ
曰歸曰歸 帰らんと曰(い)ひ 帰らんと曰ふ
歳亦莫止 歳亦た莫(く)れぬ
靡室靡家 室靡(な)く 家靡し
玁狁之故 玁狁(げんいん)の故なり
不遑啓居 啓居するに遑(いとま)あらず
玁狁之故 玁狁の故なり
采薇采薇 薇を采り 薇を采る
薇亦柔止 薇も亦た 柔らかなり
曰歸曰歸 帰らんと曰い 帰らんと曰う
心亦憂止 心も亦た 憂う
憂心烈烈 憂う心 烈々たり
載飢載渇 載(すなわ)ち飢え 載ち渇く
我戍未定 我が戍(じゅ) 未だ定(や)まず
靡使歸聘 帰聘(きへい)せしむるものなし
采薇采薇 薇を采り 薇を采る
薇亦剛止 薇も亦も 剛(つよ)し
曰歸曰歸 帰らんと曰い 帰らんと曰う
歳亦陽止 歳も亦た 陽(神無月)なり
王事靡盬 王事盬(もろ)きこと靡し
不遑啓處 啓処(けいしょ)するに遑あらず
憂心孔疚 憂心 孔(はなはだ)疚(病)む
我行不來 我 行きて来(か)えらず
【私訳】
ワラビだぞ ワラビを採るぞ
いつのまにかワラビがまた生えてきたぞ
帰りたいね 帰りたいよと言っているうちに今年もまた暮れていくよ
家に帰れないのは誰のせいだろう
それは匈奴のせいさ
家でのんびり暮らせないのは誰のせいだろう
それは匈奴のせいだ
ワラビだぞ ワラビを採るぞ
いつのまにかワラビがまた柔らかくなってきたぞ
帰りたいね 帰りたいよと言っているうちにまた気持ちがしずんでくるよ
くらい気持ちはとても烈しくて
飢えてるみたい
渇いてるみたいさ
任務はいつ終わるのかわからないし
帰ってこいなんて言ってくれるひともいないんだ
ワラビだぞ ワラビを採るぞ
いつのまにかワラビがまたかたくなってきたぞ
帰りたいね 帰りたいよと言っているうちに今年もまたもう十月だよ
王様の命令は絶対だから
家でのんびりしていられないのさ
くらい気持ちで病気みたいになっていても
私はこの遠征から帰れないんだ
髙秋白露團 高秋 白露団やかなり
上將出長安 上将 長安より出づ
塵沙塞下暗 塵沙 塞下暗く
風月隴頭寒 風月 隴頭寒し
【私訳】
空高く澄んだ秋 草に光る露はまるい
総大将は長安を出た
行軍で巻き上がる砂塵に塞は暗くけぶり
冴え冴えとした月の下吹く風で隴山の頂きは冷えてゆく
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