長短春草綠 長短 春草緑に
緣階如有情 階に縁り情有るが如し
卷施心獨苦 卷施 心独り苦しみ
抽却死還生 抽却するも死して還た生く
覩物知妾意 物を観て妾が意を知れ
希君種後庭 希(ねが)はくば君 後庭に種えん
閑時當採掇 閑時 当に採掇すべし
念此莫相輕 此を念ひて相軽んずる莫れ
【私訳】
長く短く 春の草々が青々と
きざはしに縁ってまるで情けを求め寄り添うかのように生えております
ことに宿莽草は苦しそう
この草は芯を引き抜いてしまっても 一度枯れてまた生き返るのをご存知でしょうか
その健気な姿を見てどうか私の心をお察し下さい
できましたらあなたの裏庭に植えていただけませんか
そしてお閑のあるときに摘み取ってためしていただければ
その忍びぬく強さをきっとお分かりになるはず
宿莽草を私だと思し召して大切にしてくださいませ
・巻施=巻葹とも。宿莽草。香草の一種で生命力が強い。悲しみに芯(心)が抜けてしまってもそれに耐えて懸命に生き抜く姿に自分を重ね、愛する人への深い愛を訴えています。
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